めっきのある生活

　　　　　　　　 　　必殺めっき職人
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　　　  　　　 素晴らしき「めっきのある生活」
　　　　　　　　　　　2008.8.4

　　　　　　　　　　 第145ミクロン
　　　　　　　　　　
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 「血は争えず」




　　皆様こんばんわ。本日もお疲れ様でした。

　ルーキー＠三和メッキ工業です。




　　昔話と自慢話です。

　
　えー私どもが住んでいるのは福井県というところです。

　ここは南北に「嶺北地方」と「嶺南地方」に分けられます。

　地図上の上半分が前者でして、ここに県都の福井市や

　僕たちの三和メッキがあります。

　　で、僕個人の故郷は現在住んでいる福井市ではなく、

　嶺北と嶺南のちょうど真ん中あたりの山地である

　「今庄」というところです。地租改正だか検地だか

　（平成の大合併？）により

　今は「南越前」となっています。その今庄町のさらに山奥に、

　我が家のルーツである、とある村があります。

　
　
　〜そこははるか古の平安時代末期、

　今庄の山岳地帯にあったとされる


‘燧ケ城（ひうちがじょう）’

　http://www.asahi-net.or.jp/~qb2t-nkns/hiuti.htm


　という山城のあたりで

　京都に向かって破竹の進撃を繰り広げる源義仲の軍勢と、

　平家のナントカーいう武将の軍勢が合戦を行い、
　
　平家がボコられます。惨敗。

　近隣の山中に敗残の武将や女官が

　散り散りに逃げ込み、山奥に住み着いたのが

　先祖の始まりといわれております。

　落ち武者というやつでございますね。

　時は流れて800年。

　私ことルーキーは、平家の落ち武者

（である可能性が高い）であることを

　高らかに宣言すると致しまして、

　どこかしらにおわせる、貴族的な気品など、

　我ながらルーツは自覚しつつも。






　　何と言うか、この土地の人々の中には

　‘滅びの美学’という血が流れ続けております。

　これは日本人全般に言えることかもしれませんが、

　この平家の貴族たちを始め、朝倉義景、蓮如、源義経、

　柴田勝家、橋本左内、大谷義継、佐久間艦長、

　ユダヤの亡命難民を受け入れたりなどなど


　　福井にゆかりある人物は

　皆、追われるか切腹するか、何かしら

　滅ぼされるのが運命でございます。

　それらの潔くも美しい散り様を

　美しいと思う心がここにはございます。

　そしてそれは我が家にも根付いております。


　― 僕の自慢のおじいちゃんは今年で91歳。
　
　上述した村にて生まれ育ち、優秀な成績で

　高等小学校を卒業します。裕福ではないけれども

　質素な生活を送っていたルー家、

　中学進学（現在の武生高校）目前の冬の夜、

　村が大火に見舞われます。

　そしてルー家も全焼。時に昭和5年。

　そして皮肉にも進学資金は自宅の建て直し費用に当てられ、

　おじいちゃんは進学できずに家業の炭焼きに明け暮れる毎日。

　しかし15歳になったルー祖父。

　タクシーの運転手になることを夢見て

　親戚を頼り単身上京。

　（実際にタクシー運転手になれたのかについては
　
　　現在、本人もうろくのため確認不可ー）

　20歳になった時、帰福して徴兵検査で甲種合格。

　ここから終戦まで8年間兵隊生活を送ります。

　復員後、一旦は故郷である今庄に戻りますが

　すぐに出稼ぎの為に愛知県豊橋市に単身移住します。

　戦前からお世話になっていたあるお味噌屋さんに復帰です。

　大津屋（現・イチ〇キ社）でございます。

　主計曹長としてならしたルー祖父はその手腕を買われ、

　工場長に上り詰めます。そして、60歳の時に定年退職。

　そこで帰福して隠居生活を送ってもよいものを、

　孫に似て（？）まじめで実直なルー祖父。

　先に退職していた先輩たちと合名会社を設立。

　親会社のお味噌を運送する運送会社を結成。

　設立時の共同CEOは1人減り、2人減り、

　最終的には社長のルー祖父が残り、そこから20年会社を経営。

　そしてようやく80歳をすぎた2000年に、

　僕ら、子供や孫の勧めでついに会社を人に譲り帰福。

　長い長い働きづめの人生を追え、隠居生活に入っています。

　　何十年も単身赴任で暮らした借家を引き払い

　福井に帰るその引越しの際に、

　長年会社に貢献したと思われるルー祖父をさしおいて、

　感謝状も出ずー引越しの手伝いもなくー（むしろ断ったのですが）

　僕と親父でレンタカーを借りて荷物とおじいちゃんを

　積んで帰ってきたのも懐かしい思い出。

　最後に会社に冷たくあしらわれたことを

　あの温厚なおじいちゃんがその点についてはブチ切れてました。

　このへんが、僕が中日ドラゴンズにだけは負けたくない要因でもありー

　それはおいといて、長くなりましたがどうですかこのエピソード。


　
　‘滅んで’ますよねー　ルー祖父も。



　見事に血を受け継いでおります。

　福井人は滅んでナンボです。栄華を誇ってもいいですが、

　未来永劫繁栄しては福井人ではありません。

　　惜しいとこまでいって結局滅んで

　その美しい散り際の線香花火のような輝きが

　人々の心をつかんで離さないのですー。


　
　そんなこんなで、このコラム。

　気付いたら午前中いっぱいかかって書いてました。

　というわけで、いつかはかっこよく滅びたいと思いながらー


　ＳＥＥ　ＹＡ　ですー



　







　【編集後記】
　
　福井＝滅び。

　この方程式を発見した時の

　身震いするような感激。

　この気持ちを忘れず滅んで行きたいと思います！

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   三和メッキ工業株式会社
   〒918-8063　福井県福井市大瀬町5-30-1
   電話：0776-23-1639　FAX：0776-27-4726
 
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   西山　喬之　mailto:info@sanwa-p.co.jp
 
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