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スクラムネット メールマガジン

  • Date: Fri, 6 Oct 2017 18:00:01 +0900 (JST)

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メールマガジン スクラムネット No.65
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【配信元】福井県発達障害児者支援センター スクラム福井 




【もくじ】
1..... リレーエッセイ
福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期子どものこころの専門医育成部門
森本武志 先生 より

2..... 保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント

3..... セミナー・研修会などの案内

4..... その他のお知らせ



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



秋になってきましたね。
スポーツの秋、読書の秋、
食欲の秋、と
楽しみな季節になってきました。

紅葉狩りを楽しむなど、
自然のなかで過ごすのも
ちょうど良い季節ですよね。


それではメールマガジン スクラムネット、
65回目のリレーエッセイは

福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期子どものこころの専門医育成部門
森本武志 先生 より
お送りさせていただきます。


◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【リレーエッセイ】

福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期子どものこころの専門医育成部門
森本武志


初めまして。
このたび大阪市から
福井大学子どものこころの発達研究センターにできた
児童青年期子どものこころの専門医育成部門に
赴任いたしました森本武志と申します。

前任地であり大阪市では、
いわゆる児童相談所の常勤の児童精神科医でした。

その前は、
京都市児童福祉センターで
療育や不適切養育、問題行動、
その他のメンタルヘルス上の問題について
診療および支援をしてまいりました。

福井県にはいくたびも講演や支援のため来県されていて
皆様のなかにご存知の方も多い門眞一郎先生の元で働いてきました。



大阪市では、主に虐待を受けたお子さんの支援、
神経発達症が見逃されて
二次障がいがこじれてしまった方々、
子どもの養育困難に陥っている保護者や里親さん、
児童養護施設の職員さんの支援、
さらには様々な理由から
非行に走ってしまったお子さんの立ち直り支援をしていました。

とはいえ
さっぱり想像できないのではないでしょうか。
少しご説明いたします。



児童相談所の児童精神科医は何をするのか。

残念ながら特に日本では、
児童相談所で仕事をしている医者というのは非常に少なく、
その活動内容についても
世間によく知られていないのが実情です。

そもそも
児童相談所で働いている医者の人数が非常に少なく、
そういう医師全員が集まる学会や研修会で
ほぼ全員が顔なじみになっているぐらいの狭い世界です。

ニュースや学会報告などで、
皆さんが児童相談所の医者がTVや新聞、
Webで語っているのを見聞きするときは、
「虐待」の話題についてのことが多いと思います。


だから、
児童相談所の児童精神科医は
虐待ばかりを専門とする人たちだと
勘違いされることがあります。
また、
一度子どもと会って医学的な判定をするだけだとか、
必要なら医療機関に紹介するだけで治療をしない医者、
という誤解もあります。


実際には
児童相談所の中に診療所や治療チームを持っているところが
少しずつ増えてきているのです。
私も京都・大阪では児童相談所内の診療所を主たる仕事場としてきました。


実際に、
児童相談所の精神科医の多くは
子ども虐待ばかりみているわけでも、
医学判定だけしているわけでもありません。

では
一体どんな仕事をしているのでしょうか。
その一端をご紹介してみましょう。




1)不適切養育への支援と予防

今述べた「子ども虐待」と呼ばれる状態になっている方々を含みます。
一般的には医者も含めて一般の方々は、
「虐待をする親は許せない」
「子どもを救い出して親を罰するべきだ」という
風潮のみが強かったようです。

たしかにそういう場合もあります。
聞くに堪えない、見るに堪えない虐待を生き抜いてきた子どもたちもいます。
しかし私はどうもそういう考え方だけでは
問題の解決に結びつかないと思っています。
不適切養育の予防がされることで防げる虐待や
メンタルヘルス上の困難があるのです。


子どもさんが幼少期から育てにくさを感じつつ
仲間にも行政にも相談しても取り合ってもらえず
「様子を見ましょう」
「お母さんの育て方がよくないようです。
もっと愛情をもって接してあげてください」と
言われただけというお母さま方は
まだまだ多いように思います。

支援のニーズも評価されず放置されたあげく、
何年かのちになって、
今度は虐待という形で
児童相談所が介入するという場面に数多く出会ってきました。

育てにくさ、つまり養育困難には様々な理由があり、
誰かだけに責任があるとは限らないことがよくあります。
どこが問題であるか、
どうしたら少しでも子育てが楽しくなるかを、
早期に、地道に、でもわかりやすく
具体的かつ実行可能な提案をしようと努力しています。




2)トラウマへの支援

虐待や災害、事故、いじめなど
様々な形で心的外傷体験をするお子さんは多くみられます。
ただ多くの場合、
これらは慢性化することなく
様々な症状は治っていきます。

ところが一部に、
いつまでも症状が治らないとか、
心的外傷体験が長期にわたってしまうような場合、
こじれてしまいます。
この症状を正しく評価して、
正しく治療すれば
多くの場合に治ることはまだまだ知られていません。




3)神経発達症

これまで「発達障害」と呼ばれてきたものです。
自閉スペクトラム、
注意欠如多動症(ADHD)、
学習症(LD)などがあります。

児童相談所でも神経発達症の支援は受けられるのか、と
思われる方もあるでしょうが、実は少し違います。

現在の児童相談所では
神経発達症そのものの相談を受けることはできないのが常です。
とてもではありませんが余力がありません。


むしろ、
神経発達症の方々の「応用問題」を解いているのが
児童相談所の精神科医と思っていただければよいかと思います。

養育困難、学校不適応の背景に
こうした困難があるのに、
成長の過程で見過ごされてきて、
必要な時期に必要な支援を受けないできたことが
二次的な問題を生じていることはよく知られています。

だいぶこじれまくってしまったところから、
ご本人の特性を強みも含めて正しくとらえ、
支援の方向性を立案し
一緒に実行していくのも
児童精神科医の仕事です。

私も療育機関で働いていましたが、
その時と児童相談所では
だいぶものの見方や支援方法が異なりました。

これはまたいつかお話しする機会があればと思います。




4)非行と立ち直り

児童相談所には虐待通告だけでなく、
非行をなした子どもさんたちが「通告」されてきます。

非行といっても、
やってしまった非行の内容も
子どもさんの年齢も背景も様々です。



背景にはトラウマを抱えたお子さんも多くおられます。
そういったお子さんたちへの支援を行う施設が全国にあり、
私は最近何年も二週間ごとに往診をしてきました。




5)児童福祉施設・里親支援

施設や里親さんのところで生活しているお子さんもおられます。
望むと望まぬにかかわらず
そうした状況ではうまくいくこともあれば
うまくいかないこともあります。
診察室の中からは見えない世界があります。

実際に施設での様子、里親さん家庭での様子、
学校での様子を知らないと、
支援しているつもりが大人の常識で子どもを縛ることにもなりかねません。


そういうことから私は自分のことを、
医療の側の人間というより
児童福祉の世界の人間と思っています。
要するに、診察室を飛び出して
いろいろな資源を使ってケースワークをしようとする
一風変わった児童精神科医がやってきたと思ってください。

でも
まだ福井の地は初めてですので
いろいろなつながりや有用な資源を知ることが最初の仕事だと思っています。


また今度お会いできましたらどうぞよろしくお願いします。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント】

続いてお送りするのは
保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイントです。

園でのいろいろな活動のなかで、
保育士さんたちが気がかりになることも多いと思います。
具体的な支援法を身につけるために、
さまざまな事例を学習して取り込んでいくことも大切です。

以下事例を参考に、少しでもお役にたてていただければと思います。



Q:まだ5歳の男の子ですが、
とても難しい言葉を知っています。
ただ一方では
お友達のそばにいても、
一緒に遊ぶことはほとんどなく
コミュニケーションが取れていません。


小学生になるためには、
コミュニケーションをとれるようになってほしいと思いますが、
どのように関わりを持てるようにしたらよいのでしょうか?


A:日々の保育の中で、
たくさんのお子さんの様子を
見ていらっしゃることと思います。
些細な場面に気を配り
接していただきありがとうございます。


ちなみに、
お子さんのどの場面を見ながら
「コミュニケーション」が難しいと
思われたのでしょうか?
一人遊びを好むからでしょうか?



お子さんの気になる部分は
「コミュニケーション」
だけなのでしょうか?


一度
ふくいっ子ファイルの幼児期基礎調査票の
「コミュニケーション」の項目に
チェックを入れてみませんか?

そのお子さんの様子を
気になる項目でアセスメントしてみたときに、
意外と
コミュニケーションの項目だけでは
見落としがちな部分があるのかもしれません。

コミュニケーションの項目をチェックしてみて、
それ以外にも
「興味・こだわり」や「考える力」の項目のアセスメントも
チェックを入れてみませんか?

難しい言葉を使うことが出来るお子さんなら、
知的レベルは平均を持っておられる場合があります。

となると、
“年齢相応の遊びのルールが理解できない”とか、
“興味や関心の幅が狭く、
限られたいくつかのことだけに、ひどく熱中する“という項目にも
チェックが入るかもしれません。


気にかけておられるお子さんの行動について
しっかり見てあげて下さい。

難しい言葉を使うお子さんの中にも、
特定の興味ある事柄については
とても詳しく話せるのかもしれませんが、
興味のない事に関しては
意味理解が十分ではないかもしれませんし、
“毎日の決まった行動が身につかない場面“が
見られるかもしれません。

そんな時は、
お子さんの年齢や
小学生になるのだからという概念だけにとらわれず、
お子さんの理解にあわせて
解りやすい工夫
(見える形で使えていくことや、
具体的な指示を出すなど)を
心掛けてあげてみてください。

小学生になるまでに
「出来ることを増やす」ことも大切ですが、
そのお子さんにとって
解りやすかった”配慮“や
”工夫“を伝えていくことの方が、
これからのお子さんの成長につながるのではないでしょうか?

目の前のお子さんの行動を
しっかり見極めていくことが
将来の理解を深めることになり、
その子らしい成長につながると信じています。




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【セミナー・研修会などのご案内】

それでは
今後開催予定のセミナー・研修会予定の情報について
お知らせいたします。



○ちち☆ははサポートクラブ
スクラム福井では、
発達障害のお子さんを育てられている親御さんたちの集まりを
定期的に開催いたしております。

日ごろのお子さんの様子や子育ての悩み、
保育所や学校のことなどを語り合う場を提供し、
親御さんの仲間づくりのお手伝いができれば・・・
と思っています。


主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井

平成29年
10月12日(木):坂井(春江町保健センター)
10月18日(水):小浜(サン・サンホーム)
10月25日(水):越前(越前市福祉健康センター)
10月27日(金):南越前(人材育成支援センター)
11月8日(水):敦賀(あいあいプラザ)
11月9日(木):勝山(すこやか)
11月17日(金):福井(福井市保健センター)
平成30年
2月14日(水):敦賀(あいあいプラザ)
2月15日(木):大野(結とぴあ)
2月16日(金):福井(福井市保健センター)
2月24日(土):小浜(サン・サンホーム)


参加・ご利用時間は10:00〜12:00までのお時間となります。
(南越前会場のみ9:30〜11:30までのお時間予定です。)

※詳しい内容は詳細決まり次第
スクラム福井HP ちち☆ははサポートクラブ
に掲載する予定です。



○2017秋のセミナー/指導力・支援力向上セミナー
主催:公益社団法人発達協会
今年度は、経験年数が少ない方にお勧めの
「基礎から学ぶ発達障害のある子への支援」が新たに加わりました。
その他、
例年ご好評をいただいている
「感覚」や「コミュニケーション」、
「衝動的な行動」といったテーマも揃えております。

日時:各テーマごとの日程をご確認ください
会場:東京ファッションタウン(TFT)ビル
定員:約150〜300名
受講料:9050円(税込)(会員は税込8220円)
 
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



○ペアレントメンター養成研修公開講座
発達障害者支援セミナー
主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
日時:平成29年10月28日(土) 10:00〜12:00
場所:福井県立大学 交流センター3階多目的ホール
講師:村松陽子 先生
(京都市児童福祉センター医師・京都市発達障害者支援センター所長)
定員:120名 
参加費:500円(資料代として)
 
※詳しくは
スクラム福井HP 研修会のご案内
をごらんください。



○農業と福祉の連携研修会
主催:あわら・坂井のうふく連携協議会
事務局:NPO法人ピアファーム
日時:平成29年10月28日(土) 10:00〜16:00
場所:JA花咲ふくい芦原農協会館
講演:これからの農福連携の課題と展望
講師:吉田行郷さん(農林水産省 農林水産政策研究所)
ほか実践報告、シンポジウムなど 
参加費:無料
 
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



○平成29年度 療育研修会 自閉症スペクトラム児の偏食へのアプローチ
主催:福井県こども療育センター
日時:平成29年10月28日(土)
場所:福井県立看護専門学校 4階多目的室
講師:立山 清美先生(大阪府立大学大学院 講師)
参加費:無料
午前の部 療育関係者向け講演会
「自閉症スペクトラム児の偏食へのアプローチ」
対象:療育機関、保健センター、園や学校の職員など
定員:100名
9:30 受付
10:00〜12:00 講演・質疑応答
午後の部
「偏食についての保護者勉強会」
対象:保護者
定員:24名
13:00 受付
13:30〜15:00 アンケートをもとにした勉強会
 
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



○まなぼう!はなそう!1 性・Say・生
主催:障がい児・者の性を学ぶ会《ゆいの会》
 
第2回 つきあい方を考えよう1
10月28日(土) アオッサ6階研修室605
 
第3回 つきあい方を考えよう2
11月25日(土) アオッサ6階研修室602
 
第4回 いのちの大切さを考えよう
12月23日(土) アオッサ6階研修室605
 
第5回 自分のことが好きですか?
2月24日(土) アオッサ6階研修室(未定)
 
各会場とも時間は午後2時〜4時
参加費無料
対象は高等部3年生以上の障がいのある人
 
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



○気がかりさのある子の子育て
主催:児童発達支援センターフレンズあすわ
日時:平成29年11月26日(日) 14:00〜16:00
場所:AOSSA6階 607研修室 
講師:川谷正男 先生(福井大学医学部附属病院) 
参加費:無料
定員:50名 
 
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



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【その他のお知らせ】

○「就コミュ」のご案内

就コミュ! は
インターネット上で
職場でのさわやかなコミュニケーションのポイントを
遊びながら学ぶサイトです。

国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金助成活動」の
助成を受けて
日本設備管理学会 就労支援技術研究会にて
開発されたサイトです。

ゲームの主人公の立場で、
就職活動や職場でのコミュニケーションを疑似体験できます。
どのような話し方が相手に好印象を与えるか、
考えながらチャレンジしてみましょう。

就コミュのサイトは
http://www.syucom.org/ をごらんください。



○MRI検査の母とお子様の協力者を募集
福井大学子どものこころの発達研究センター
(福井大学医学部附属病院)では、
子育て中の『お母さん』が
意図せずとも発揮している『脳の働きの不思議』を
MRI検査で調べる脳科学研究への参加者を募集しています。 

※詳しくは http://tomoda.me/resources/Youikunou_MRI_recruit.pdf を
ごらんください。



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発行 福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
お問い合わせ info@scrum-fukui.com
ホームページ http://scrum-fukui.com/
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