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スクラムネット メールマガジン

  • Date: Fri, 19 Jan 2018 18:00:01 +0900 (JST)

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メールマガジン スクラムネット No.68
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【配信元】福井県発達障害児者支援センター スクラム福井 




【もくじ】
1..... リレーエッセイ
愛知県立春日台養護学校
土橋圭子 先生 より

2..... 保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント

3..... セミナー・研修会などの案内

4..... その他のお知らせ



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆


遅ればせながら
あけましておめでとうございます。
年が明けてから
はや3週間が経ちました。
お正月もあっという間に過ぎ、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

立春が近づいてきていますね。
そういえば夕方の時間帯も
暗くなるのが
遅くなってきました。
一日ごとに日が長くなり、
春が近づいていることを
感じます。

それではメールマガジン スクラムネット、
68回目のリレーエッセイは

愛知県立春日台養護学校
土橋圭子 先生 より
お送りさせていただきます。


◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【リレーエッセイ】

愛知県立春日台養護学校
教諭 土橋圭子


特別支援教育の昨今とこれからの課題


私の特別支援教育に携わりたいという志は、
大学生時代に教育自習をさせていただいた
大学附属特別支援学校
(当時は「養護学校」という名称でした)での
障害のある子どもたちとの触れ合いが
動機となっています。

子どもたちの純真さと清らかさ、
ひたむきさに大きな感動を覚え、
障害のある子どもたちに魅了されました。

図画工作の「ボディーペインティング」の授業で、
無心に絵具を塗る子どもたちの目の輝きは、
今もなお鮮明に私の脳裏と心にそのインパクトをもって残っています。
そして、
研究室仲間と話し合って決めた
郷里を離れての他県での就職。
光陰矢の如し、
あれからもう十数年が経ち、
間もなく職業人生の一つの区切りを迎えようとしています。


この数十年の間に、
障害のある子どもたちへの教育形態は
大きく変わりました。

1979年に養護学校(特殊教育)の義務化が始まり、
統合教育(インテグレーション)、
そして現在は世界的動向の中で、
障害のあるなしにかかわらず
支援が必要なすべての子どもたちの個々のニーズに合わせた
多様な教育形態が準備される
「インクルージョン」という考えに基づいた
教育形態に至っています。

2007年に我が国は「特別支援教育」を法制化し
学校教育法に位置づけ、
障害のある子どもたちが通う学校と学級の名称を、
特殊学校から特別支援学校に、
特殊学級から特別支援学級に変更し、
子ども一人一人の教育ニーズに合わせた教育内容の充実を
学校教育に求めています。

文部科学省が2007年4月1日付で各自治体等に通知した
「特別支援教育の理念」をここに書き添えます。



―――――― 「 特別支援教育の理念 」

特別支援教育は、
障害のある幼児児童生徒の自立や
社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、
幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、
その持てる力を高め、
生活や学習上の困難を改善又は克服するため、
適切な指導及び必要な支援を行うものである。

また、特別支援教育は、
これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、
知的な遅れのない発達障害も含めて、
特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において
実施されるものである。

さらには、特別支援教育は、
障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、
障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ
様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基盤となるものであり、
我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。                                       

―――――― 2007.4.1   文部科学省


2007年9月28日
我が国の障害者の権利条約の署名、
医療・労働・福祉・教育等それぞれの分野における法制備、
そして2014年1月20日に
障害者の権利条約の批准書が寄託されたことは
記憶に新しいことです。
そしてその批准を契機に、
特別支援教育においても加速度的に社会に根を張りつつあります。
上記の特別支援教育の理念の推進、
2003年文部科学・厚生労働省・経済産業省・内閣府の
4省の連携によって強化が図られたキャリア教育の障害児への推進、
2008年の障害者雇用促進法による障害者雇用の推進は、
この障害者の権利条約批准に先駆けて取り組まれました。

障害のある子どもたちの教育期間のみならず
社会参加や就労、その後の生活といった
障害者の人生全般の「生涯学習」という視点において
障害児・者の人権が牛歩ではありますが保障されつつあります。


さて、
このような社会の形態的発展
かつ社会的・組織的枠組みの発展の中にあって、
特別支援教育の現場では、
障害者の権利条約、学校教育法、
文部科学省からの特別支援教育の理念に即して、
障害のある子どもたちの心に寄り添った
また
子どもたち一人一人の教育的ニーズに答えた教育、指導・支援が
実際にどれだけ行われているのでしょうか。


長年、
知的な障害のある子どもたち、
自閉スペクトラム症の子どもたち、
ダウン症等の子どもたちが在籍する
特別支援教育(知的障害)に長年携わり、
この課題はとても大きいと感じています。

マスメディアが近年取り上げ社会問題化しています、
教師と幼児児童生徒の人数比の教育環境の問題や
教師多忙説の問題も
特別支援学校において多少は影響するのかもしれませんが、
それ以上に、
管理・運営者を含めた教師の特別支援教育者としての倫理観と道徳性、
教職に携わる者に求められる真摯な心、
特別支援教育にかかる法律や条例の理解、
障害のある子どもの心の理解、
指導・支援技術や知識の深い理解等の専門性
また専門的資質の在り様が、
この課題の根底にあると感じています。


障害のある子たちの人権保障の根幹にも関わる障害児への人権侵害行為が、
一般社会の倫理感や道徳観とは質的に異なり、
今もなお正当な指導や支援として、
また教師から子どもへの一方的な仲良し説・信頼関係説として正当化され
根強く指示されています。
また指導行為に熱が入りすぎてと言って
言い逃れ行為の正当化を図る姿は、
組織内だけの論理の中での判断と感じます。
教師の指示に従えないからと言って怒鳴る、
集団から逸脱したと言って叩く・つねる等の身体的罰を与える、
教師が一方的にできるはずと思い込み
子どもができないと
その子どもが恐れる注射や鬼のお面を見せて脅す、
楽しそうに水遊びをしている子どもに
突然頭からバケツで水を幾杯も浴びせる等
子どもをからかって遊ぶ行為等、
職員による障害のある子どもたちへの身体的罰、
心理的罰、からかいや弄びは、
未だ特別支援学校現場には存在しています。
そして、
その人権侵害行為に対する問題を指摘された時、
その改善のための会議が開かれた時、
真摯に受け止め事例検討を行い
職員の人権意識を高める状況になれば
それで子どもの心に寄り添った教育として発展するでしょう。
しかし、
「人権問題を申告したあなたの見間違いだ、思い違いだ、
職員の和を乱す、個人攻撃になるから事例検討は行わない、
隠ぺいすることが引いては子どものためなんだ」と
事実を回避し、
「皆でこの行為について検討して人権意識を育てましょう、
子どもたちの人権保障に取り組みましょう」と
申し出た教師に対して、
組織の悪人というレッテルを貼り
組織を煽り組織全体で排除・嫌がらせをする行為は、
障害者の権利条約また子どもの権利条約を批准し、
特別支援教育が学校教育法に位置付けられた我が国の教育指針からも
大きく逸脱するのではないでしょうか。


特別支援教育は、
障害のある子どもへの管理・統制、
教師への服従・忠誠心を求めるのではなく、
子どもの意欲、達成感、自己肯定感、自尊心、
人への信頼感を障害のある子ども一人一人の
教育的ニーズに合わせて育ててこそ、
真の特別支援教育になるのではないでしょうか。

それは、
子どもが幼ければ幼いほど
大切な指導・支援の在り方だと感じています。
本編集者の友田明美先生が
脳の科学的見地からも、障害のある子を含めた子どもへの
教育・指導支援の適切な在り方のご示唆を、
全国行脚され普及くださっていること、
本当に心強く感じております。


私の拙い教育経験からの特別支援教育への思いと
意見を述べさせていただきました。
これからの益々の特別支援教育の発展を願ってやみません。

末筆ながら、
本執筆の機会をお与えくださいました
本編集者の皆様に心から感謝申し上げます。




◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント】

続いてお送りするのは
保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイントです。

園でのいろいろな活動のなかで、
保育士さんたちが気がかりになることも多いと思います。
具体的な支援法を身につけるために、
さまざまな事例を学習して取り込んでいくことも大切です。

以下事例を参考に、少しでもお役にたてていただければと思います。



Q:お母さんから
「言葉の遅れが気になる」と相談を受けました。

今後通常保育のなかで、
どのような手立てを考えていけばよいのでしょうか?
また
お母さんにはどのように接すればよいのでしょうか?



A:発達にはそれぞれ個人差があり、
言葉が早く出るお子様もいれば、
遅れてしまうお子様もいらっしゃいますね。

お母さんが言葉の遅れを気にしているときは、
保育士さんもつい言葉の遅れのみに
注意しがちですが、
できれば言葉以外の
日常のコミュニケーション全般についても
注意できると良いかもしれません。

歌や踊りなど、
大人と同じ動きをまねするかどうか、
遊び道具に関心を持ち、
気持ちを共有することができているかどうか、
そうした点も気を付けてみてあげてください。

もし言葉やその他発達に遅れがみられる場合は、
保育カウンセラーなど
他機関、専門家への相談も
考えてみましょう。


お子さんへの接し方ですが、
まずは園内での会話を増やすようにしてみましょう。

子どもに話しかけたり、
問いかけたりすると、
その分言葉の意味や
相手の気持ちについて学ぶ機会が増えます。

喜怒哀楽の表現についても
「わいわい」「にこにこ」「プンプン」など
言葉と一緒に表現や感情を伝えるようにしてみます。
喜ぶ顔や怒った顔など、
なるべくはっきりとした表情をつけて
子どもから相手の気持ちを察しやすくしてみるのもひとつです。

もしも
お子さんから話しかけてくれたら、
先生からは積極的に褒めてください。
褒めながら接して、
お子さんからの発話に自信がつくように促していきましょう。


そして、
母親が不安を感じている場合は、
これら園内での取り組みについて説明できるとよいでしょう。

お母さんを安心させてあげたいと
「大丈夫ですよ」
「そのうち話し始めますよ」と
お話される方もいますが、
なるべく安易に答えないほうがよいでしょう。

お母さんの不安な気持ちを聞き取ったうえで、
園内での対応、そして相談先の情報などを提供するのが
よいと思われます。




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【セミナー・研修会などのご案内】

それでは
今後開催予定のセミナー・研修会予定の情報について
お知らせいたします。



○みんなでつくる共生社会シンポジウム
主催:徳山工業高等専門学校、熊本高等専門学校、福井工業高等専門学校
日程:平成30年1月27日(土) 9:30〜17:45
場所:ハピリン福井 ハピリンホール
第1部 ワークショップ・セミナー(教材費無料)・講演
第2部 講演(定員150名)
第3部 市民対話(定員150名)
参加費:無料
事前申し込み優先、当日参加可能、出入り自由

※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



○ちち☆ははサポートクラブ
スクラム福井では、
発達障害のお子さんを育てられている親御さんたちの集まりを
定期的に開催いたしております。

日ごろのお子さんの様子や子育ての悩み、
保育所や学校のことなどを語り合う場を提供し、
親御さんの仲間づくりのお手伝いができれば・・・
と思っています。


主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井

平成30年
2月14日(水):敦賀(あいあいプラザ)
2月15日(木):大野(結とぴあ)
2月16日(金):福井(福井市保健センター)
2月24日(土):小浜(サン・サンホーム)

参加・ご利用時間は10:00〜12:00までのお時間となります。

※詳しい内容は詳細決まり次第
スクラム福井HP ちち☆ははサポートクラブ
に掲載する予定です。



○ASD新入生大学生活準備プログラム
主催:大阪大学キャンパスライフ健康支援センター
日程:平成30年3月23日(金)・26日(月)・28日(水)
場所:大阪大学豊中キャンパス
内容:模擬授業やキャンパスツアー、セミナー、相談会など
対象:大学進学(本学でなくても構いません)を予定している
ASD傾向のある学生で、本プログラムに全日参加可能な方 

参加費:無料(定員30名)
申込:3月12日までにメールにて申し込み

※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修のご案内
をごらんください。



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【その他のお知らせ】

○「就コミュ」のご案内

就コミュ! は
インターネット上で
職場でのさわやかなコミュニケーションのポイントを
遊びながら学ぶサイトです。

国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金助成活動」の
助成を受けて
日本設備管理学会 就労支援技術研究会にて
開発されたサイトです。

ゲームの主人公の立場で、
就職活動や職場でのコミュニケーションを疑似体験できます。
どのような話し方が相手に好印象を与えるか、
考えながらチャレンジしてみましょう。

就コミュのサイトは
http://www.syucom.org/ をごらんください。



○MRI検査の母とお子様の協力者を募集
福井大学子どものこころの発達研究センター
(福井大学医学部附属病院)では、
子育て中の『お母さん』が
意図せずとも発揮している『脳の働きの不思議』を
MRI検査で調べる脳科学研究への参加者を募集しています。 

※詳しくは http://tomoda.me/resources/Youikunou_MRI_recruit.pdf を
ごらんください。



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発行 福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
お問い合わせ info@scrum-fukui.com
ホームページ http://scrum-fukui.com/
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