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スクラムネット メールマガジン
- Date: Fri, 8 Jul 2016 18:00:00 +0900 (JST)
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メールマガジン スクラムネット No.50
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【配信元】福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
【もくじ】
1..... リレーエッセイ
連合小児発達学研究科博士課程1年
社会福祉法人大日園 理事長 笠羽涼子 先生 より
2..... 保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント
3..... セミナー・研修会などの案内
4..... その他のお知らせ
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梅雨時は
湿度が高くて、
洗濯物が乾かず、
イライラした人も多かったのではないでしょうか。
そんな梅雨の時期も
もうすぐ終わり、
夏本番がやってきますね。
夏バテには注意したいところです。
それではメールマガジン スクラムネット、
50回目のリレーエッセイは
連合小児発達学研究科博士課程1年
社会福祉法人大日園 理事長 笠羽涼子 先生 より
お送りさせていただきます。
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【リレーエッセイ】
連合小児発達学研究科博士課程1年
社会福祉法人大日園 理事長 笠羽涼子
みなさま、はじめまして。
連合小児発達学研究科および
社会福祉法人大日園の笠羽と申します。
仕事は主に障害児・者施設の施設長として,
また臨床発達心理士として
保育園や障害児者支援に携わっており、
地域に根付いた子どもから大人の健やかな「生涯発達支援」を目的に、
仕事に研究にと、
日々奮闘しております。
「生涯発達」とは、
単に子どもが大人になるという過程だけではなく、
大人の時期における変化や
老人期の衰退等も発達という概念で考え、
要は「人は一生,発達する」ということです。
「発達」に関しては色々な研究がありますが、
例えば花の種を植えて、
どんなに水をあげたところで、
次の日すぐには花が咲かないのと同じで、
発達を無理に促すことはできません。
段階を経て、
その時期がきたら自然に発達していくのです。
ただ、
元気な花を咲かせるためには、
水や肥料をあげて日光に当てますよね。
茎が細くて倒れそうだったら
支柱で支えたりするように、
一人ひとりの現状に対して
適切な環境を整えることが「支援」であると考えます。
生涯発達の観点から、
ライフステージに応じた支援が整備されてきておりますが、
発達に凸凹があるとされる発達障害児者支援は、
早期に始め、ライフステージごとに
途切れなく続くことが望ましいと考えられます。
「ライフステージごと」というのは、
発達とともに支援のニーズが変わってくる可能性が高いからです。
昨今、よく耳にするのは、
乳幼児期〜就学まではうまくいったのに
就労でつまずいてしまった、というケースです。
例えば、職場の上司が
「手が空いたらすぐに、○○をやっておいてもらえないか」と
指示を出したところ、
本人は字義通りにとってしまい、
勤務時間の終わりに、
「手が空かなかったからやりませんでした!」と答え、
「君は本当に仕事ができるね」と上司が皮肉を言ったら、
「ありがとうございます!」と喜び、
上司を怒らせてしまった、というケースがありました。
小噺にでもなりそうですが、
当の本人はどうして怒らせてしまったのか、
さっぱりわからない様子でした。
社会生活において
他者とコミュニケーションを取る際に、
私たちは自分の意図を直接的には表現せずに、
わざと遠回しな言い方をしたり、
逆のことを言ったりします。
皮肉表現はその典型の一つであり、
音韻論・統語論・意味論等の言語学的区分では、
語用論に属し、
他者の意図を理解するには
その社会的場面や文脈の情報
(その人の表情や声のトーン、前後のつながり等)を手がかりに、
言葉の裏に隠された暗黙の意図を推測する必要があります。
誰が教えるわけでもないのに、
人は自然と他者の意図を推測し、
国や文化圏でも異なりますが、
だいたい小学生で皮肉やユーモアが
理解できるようになるといわれています。
しかし、
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)は、
この能力が未熟で、
他者の暗黙の意図を字義通りに解釈してしまうことが多いため、
皮肉やユーモアなどがわからず、
他者とのコミュニケーションにズレや、
対人関係のトラブルを起こしやすいことが指摘されています。
近年の脳研究で、
皮肉など含意のある言葉を理解する時の脳領域と、
他者の心の状態や目的、意図などを推測する
「心の理論」の関連脳領域が
部分的に重なっていることが報告されています。
日常生活において
他者と円滑なコミュニケーションを取るには、
心の理論が不可欠ですが、
ASD児者は心の理論がうまく使えないともいわれています。
ですので、上記のケースでいうと、
上司は単刀直入に
「〇〇をやるように」と
具体的な指示だけを出せば、
トラブルは起こらないのかもしれません。
発達の凸凹の、
凸の強みの能力に着目し、
外から入ってくる情報を
どのように処理しているか(認知処理)等の
個人特性を丁寧にアセスメントした上で、
その特性にあった適切な「環境」を整えることで、
ライフステージに応じた発達を
支援していくことができると考えます。
発達は、
脳の構造や機能を変化させるといわれていますが、
どのような過程で変化していくのか、
また
定型と非定型ではどのように認知処理が異なるのか、
そもそも人は社会的な情報を
どのように認知処理をしているのか等の疑問を持ち、
数年前に、
福井大学教育学研究科 三橋美典教授の研究室の扉を叩きました。
脳波を用いて、
言語理解に関する社会的認知能力に焦点を当てた
認知神経心理学研究を行う一方、
三橋先生主催の発達障害児の放課後教室に
スタッフとして参加させていただきました。
それらの経験から、
基礎研究を積み上げることの重要性や、
その研究から得られた知見を
臨床にいかしていくことの必要性を学び、
また
医療・教育・福祉の連携や、
子どもらの生活基盤となる養育者に対する支援の重要性を痛感し、
現在も一意奮闘しております。
2013年に三橋先生らが開催した「生理心理学会」での、
連合小児発達学研究科 友田明美教授の講演「発達障害と虐待の脳科学」を
拝聴させて頂いたご縁で、
この春から友田先生の研究室でお世話になっております。
その講演で、
児童虐待を受けることで子どもの脳が変化し、
その後の発達にも影響する、
また自然災害であれ日常的な虐待であれ、
子どもの受ける傷は発達を傷害し、
従来の「発達障害」に類似した症状を呈する場合がある、という
研究結果を拝聴し、
大きな衝撃を受けました。
後天的な要因で子どもの健やかな発達が阻害されてしまう、
環境が子どもの脳を変化させてしまう、
それが科学的な手法で明らかになっているのです。
その傷をどうやって治していくのか、
そうならないためにどう予防していくのか、
友田先生の研究室では、
多様な分野の専門家が日々、大きなテーマに挑んでおられます。
子どもが健やかに育つためには、
やはり子どもと養育者との良い意味での相互作用が重要であると考えます。
よりよい相互の「発達」を、
科学的根拠に基づく研究から生涯発達支援につなげ、
地域福祉や社会に還元していければと思っております。
とはいえ、私自身、
中学生の息子から
日々「母さんの手抜き家事のお陰で、
僕は本当に色々できるようになったよね、ありがとう!(皮肉)」などと
言われている雑な養育者で
(これぞ自然な発達だと、自信をもって彼には説明しています)、
研究室でも職場でも家庭でも、
周囲の方々の支えで、
何とかやっている発達途上の状況です。
みなさまのお力をお借りしながら、
少しずつでも前に進んでいけるように頑張ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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【保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント】
続いてお送りするのは
保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイントです。
園でのいろいろな活動のなかで、
保育士さんたちが気がかりになることも多いと思います。
具体的な支援法を身につけるために、
さまざまな事例を学習して取り込んでいくことも大切です。
以下事例を参考に、少しでもお役にたてていただければと思います。
Q:なかなか食事が進まない・箸が上手に使えない子
5歳の男の子です。
給食の時間は行動がゆっくりになり、
なかなか食べ始めないし、
何やかんやと言い訳をして残そうとします。
箸のもちかたもなかなか上手に持てません。
A:まず、お子さんの様子を
他のお子さんと同じように判断しないことが大切だと思います。
食べるといっても、さまざまなことが考えられます。
1. 噛む力や呑み込みに弱さや苦手さはありませんか?
嚥下の基本は歯で物を噛み、大きさを整えるところから始まります。
物を噛み、舌の上で唾液と混ぜながら
呑み込みやすい大きさに舌の上でころころ転がし準備します。
ある程度の丸みができるまで歯や舌で準備するのです。
準備ができると舌で食道に送ろうとします。
中には、適度な大きさに噛めず、
口いっぱいに物を詰め込み
なかなか呑み込めない子や
口の中で何度も噛んでいるのに
食道に送りにくい子、
上あごや舌で物を
ぺちゃぺちゃと押し付けるように小さくして食べる子、
過敏さのある子で
のどに異物を感じたかのように
呑み込みの苦手な子もおられるようです。
「食べる」と一言でまとめてしまわないように、
個々の様子を細分化して
どこに苦手さがあるのかを考えてみてください。
そして、
最初は小皿に盛るくらいの少量から盛り付けてみたり、
自分で好きな量をよそえるようにして
可能な範囲で“食べられる経験”をさせてあげて下さい。
「食べたくない」とか「お腹がいっぱい」などの拒否の言葉にも、
「食べないとだめ」とか「食べないと○○あげないよ」ではなく、
「一口食べたら終わりにしよう」とか、
「食べたら○○しよう」と、
そのあとにいいことがある事を話すようにしてみてください。
2. 箸やスプーンの使い方が十分でないお子さんに、
嫌なご飯を食べる場面で
”正しく持つ“ことを教えてあげるのではなく、
家庭と協力して、
大好きなおやつを箸やスプーンで
”取り出しただけ食べられる“とか、
砂場でのシャベルの持ち方とか、
食事場面とは切り離し、
楽しみな活動から持ち方や使い方を習得することもいいのではないでしょうか?
嫌いな食事の場面でできるようになることを考えてみてください。
食事という大きな枠には、
「同じように食べる」とか
「おいしく食べる」とか、
「上手にたべる」というような、
するべきことが沢山あります。
ひとまとめにせず、
少しずつ部分部分を大切に育てていただくことが、
これからの楽しい食事につながるのではないかと考えます。
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【セミナー・研修会などのご案内】
それでは
今後開催予定のセミナー・研修会予定の情報について
お知らせいたします。
○ちち☆ははサポートクラブ
スクラム福井では、
発達障害のお子さんを育てられている親御さんたちの集まりを
定期的に開催いたしております。
日ごろのお子さんの様子や子育ての悩み、
保育所や学校のことなどを語り合う場を提供し、
親御さんの仲間づくりのお手伝いができれば・・・
と思っています。
主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
平成28年
7月15日(金):福井(福井市保健センター)
9月7日(水):敦賀(あいあいプラザ)
9月8日(木):勝山(すこやか)
9月16日(金):福井(福井市保健センター)
10月19日(水):鯖江(アイアイ鯖江)
各会場とも10:00〜12:00までのお時間となります。
※詳しくは
スクラム福井HP ちち☆ははサポートクラブ
を、ごらんください。
○公益財団法人キリン福祉財団助成事業
ジョブコーチカンファレンス2016
主催:
職場適応援助者養成研修機関連絡会
NPO法人大阪障害者雇用支援ネットワーク
NPO法人くらしえん・しごとえん
NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク
NPO法人全国就業支援ネットワーク
日時:平成28年7月23日(土) 10:00-17:10 (9:30-受付)
会場:金沢市アートホール
プログラム:行政説明、実践報告、シンポジウムなど
対象者:職場適応援助者養成研修修了者
および就労移行支援事業者、障害者雇用企業、
その他ジョブコーチの実践に関心のある人
定員:300名
参加費:3000円
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修会のご案内
を、ごらんください。
○福井県自閉症協会
のびのびクラブ7月活動予定
主催:福井県自閉症協会
日時:平成28年7月23日(土)
場所:福井県社会福祉センター2階プレイルーム
内容:親子運動教室、スポーツチャンバラ
参加費:自閉症協会会員300円、非会員600円
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修会のご案内
を、ごらんください。
○成人期の自立生活に向けた勉強会
主催:福井県自閉症協会ライフスキル部
日時:平成28年8月21日(日) 14:00-16:00
場所:福井県社会福祉センター1階 大会議室
講師:岩田さおり先生
(福井県社会福祉協議会 地域福祉課 GL)
参加費:500円(資料代)(自閉症協会会員及び学生の方は無料)
定員:30名
申込締切:8月18日(木)
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修会のご案内
を、ごらんください。
○福井大学市民公開シンポジウム
「子育てと養育環境」
主催:福井大学 環境ISO
日時:平成28年9月3日(土) 14:00-17:30
場所:福井大学 アカデミーホール
基調講演「周産期医療から見た児童虐待」
講師:光田信明 氏(大阪府立母子保健総合医療センター)
講演「保育専門職とのパートナーシップによる養育者支援」
講師:渡邉多恵子 氏(日本保健医療大学)
講演「福井県の子ども・子育て支援」
講師:岩壁明美 氏(福井県健康福祉部子ども家庭課)
講演「子育て支援の意義を確認する
〜愛着障がいの脳科学研究〜」
講師:友田明美 氏(子どものこころの発達研究センター)
司会:松崎秀夫 氏(子どものこころの発達研究センター)
入場無料
申込期限:9月1日(木)
※詳しくは
スクラム福井HP 他機関の研修会のご案内
を、ごらんください。
○平成28年度子どもの心の診療医養成研修
平成25年度にスタートし、多くの皆様にご参加いただいております。
研修最終年度の今年度はADHDの治療と支援を中心した内容で実施します。
≪実践講座≫
【乳幼児期】
日時:平成28年7月31日(日) 9時30分〜12時
場所:武生商工会議所パレットホールA&B
内容:○講義「乳幼児期の診療と支援」
〜かかりつけ医のための子育てファイルふくいっ子活用法〜
講師 福井県こども療育センター 次長 津田明美 先生
○支援機関紹介 〜地域で活用できる支援機関〜
・NPO法人はるもにあ 理事長 清水聡 氏
・小浜市母と子の家児童発達支援センター 園長 緩詰真由美 氏
【学齢期】
日時:平成28年8月21日(日) 9時30分〜12時
場所:武生商工会議所パレットホールA&B
内容:○講義「発達障害の捉え方と包括的支援」
〜診断方法と薬物療法の実際〜
講師 医療法人テレサ会西川医院
発達診療部部長、発達障害研究センター長 林隆 先生
○支援機関紹介 〜地域で活用できる支援機関〜
・福井県特別支援教育センター 指導主事(特別支援教育) 岸野美佳 氏
【成人期】
日時:平成28年10月30日(日) 13時30分〜16時
場所:福井県医師会館2階大ホール
内容:○講義「成人期の発達障害の捉え方」
〜ライフステージによる課題と二次障害〜
講師 京都大学大学院
医学研究科人間健康科学系専攻 教授 十一元三 先生
○支援機関紹介 〜地域で活用できる支援機関〜
・スクラム福井 相談員 野村眞弓 氏
・若狭町子ども・若者サポートセンター センター長 土阪何夜子 氏
※この研修会は医師が対象ですが保健、医療、福祉、教育関係者の方の聴講が可能です。定員(各会場120名)を超えた場合はお申し込みをお断りする場合があります。
※お問合わせは
福井県障害福祉課(0776-20-0634)または、福井県医師会(0776-24-0387)
まで
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【その他のお知らせ】
○MRI検査の協力者を募集
福井大学子どものこころの発達研究センター
(福井大学医学部附属病院)では、
「子どものこころの発達」にかかわる
脳内ホルモン「オキシトシン」の効果を
MRI検査で確認する研究をしています。
※詳しくは
スクラム福井HP 子どものこころの発達研究センターより を
ごらんください。
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発行 福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
お問い合わせ info@scrum-fukui.com
ホームページ http://scrum-fukui.com/
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